I様にはそのご両親からこれまで何度かご注文を頂き、家具を制作させて頂きました。（胡桃の3枚接ぎダイニングテーブルセットにパソコン用デスク、その他にも…。）

一番最初は2008年でしたので、7年前からのお付き合いになります。伺うたびに大切にお使い頂いている事を感じられ、嬉しく思い、又そのお人柄から来る楽しいお話に元気を頂いています。

そのご子息が結婚され新居に移られるのを機に、「ダイニングセットを作って欲しい」と家族皆さんで当工房にいらっしゃいました。ご両親のテーブルと同様に胡桃（クルミ）の3枚接ぎダイニングテーブル、椅子は桜のπチェア2脚、胡桃（クルミ）の無垢一枚板板脚ベンチという事になりました。

最近では良質な胡桃（クルミ）の幅広の板が入手できなくなっているのですが、どうにか良い材が入手でき、満足のいくものが制作できました。喜んで頂き、上記のような感想が頂けてほっといたしました。

「家具によって生活が変わる」と言うお言葉に、嬉しい思いと、それだけにしっかり作らなくてはという自分に対する戒めを頂いた気がします。ありがとうございました。

Y様から初めてお問い合わせがあったのは6月の初めでした。無垢一枚板のダイニングテーブルを探しているとの事、しかも木目のきれいな無垢一枚板が良いとの事で、電話でお話をしている中で「水目桜」がどうかという話になりました。ご希望に合いそうな水目桜の板があったので画像を送らせて頂き、又実際に板を見にいらっしゃるという事になりました。

一緒に材木店へ行き見て頂いたところ、素晴らしい杢が全面に浮き出たまさに「極上杢」と言っていいような栃の無垢一枚板が目に留まりました。（全国の木工家御用達のこの銘木店の中でも社長曰く「最高級の栃です」との事でした。これほどの板は今後出てくる事はほぼ無いだろうという事も言われました。）Y様はこれを気に入られ「どうしても欲しい」との事でした。ただ、テーブルにするには少し幅が狭いので、座卓として使うという事でした。この板に決まった時は私自身も震えるぐらいでした。

ところで、当初「ダイニングテーブル」が欲しくてお見えになったので、この思わぬ展開に「どうしようか？」となり（予算をすでにはるかに超えている）、「それならば工房に在庫の栃無垢一枚板があります。それほど上等ではないし、板厚もあまり厚くはならないけれど（45mm前後）どうでしょう？」と話しますと、実際に板を見られた上で「是非」という事で決まりました。他にも桜のπチェアを1脚と、在庫で置いてあった桜の「ちょこっとスツール」を1脚ご購入頂く事になりました。その後も電話やメール、あるいは工房に来て頂いて詳細な事の打ち合わせを繰り返し、完成に至りました。

とにかく板の値打ちを損ねる事のないように、デザインや制作に注意を払って制作致しました。想像はしていたのですが、それ以上の杢のきらめきに圧倒されました。このような仕事もそんなにしょっちゅうできるわけではありませんので、こんな機会を頂けた事に感謝です。テーブルの方も、実際に制作してみると思っていた以上に良い板でした。

又、後でお聞きしますと、Y様は本当に全国の有名な木工家や（私もよく知る名前がいくつかありました）いろいろな工房を訪ねられたようで、椅子などは他の有名作家さんや工房でも1脚ずつ何脚かオーダーをされたとの事。その中に当工房の「πチェア」を入れて頂けた事に感謝です。又、座卓やテーブルの制作に当たっては当工房を選んで頂いたわけですから、本当にありがたく思っています。書斎机のお話も頂きましたので、ご期待に添うように頑張らせて頂くつもりです。ありがとうございました。

T.K様には以前にπチェアを3脚ご購入頂きました。今回は新しい事業の開業に合わせて、ダイニングテーブルとベンチ、πチェア2脚、書斎机とチェストのセットというたくさんのご注文を頂きました。

ダイニングテーブルは「ミズメザクラ」でというご希望でした。ミズメは数ある木材の中でも稀少で、高級な木材の代表格と言っても過言ではありません。しかし、今では日本中を探しても幅広の良質なミズメザクラはなかなかありません。苦労しましたが、素晴らしい杢が表れた幅広の良い板を見つけて、制作する事ができました。

これまでも木目の美しいテーブルはたくさん作ってきましたが、ミズメザクラのダイナミックなきらめきは格別ですね。脚部も天板を生かすために存在感のあるデザインにしました。とにかく最高の仕上がりになるように念入りに仕上げました。その重さには相当苦労しましたが…（笑）

πチェアは今回はウォールナットで特注のフラット肘タイプで制作しました。前回は通常のπチェアを購入頂きましたが、今回のフラット肘タイプも気に入って頂けたようで嬉しいです。

書斎机セットはウォールナットでという希望でした。当工房のオリジナル「学習机セット」を「書斎机」仕様に少し変更して制作しました。特に天板については、たまたま個性的なウォールナットの一枚板があり、T様に画像をお送りして見て頂きました。節や割れ、ねじれなどの欠点もかなりあり、一筋縄ではいかない感じではありますが、まるでクラロウォールナットのような個性的な表情を気に入って頂き、それで制作する事になりました。

ところが、制作にかかってみると、部分的に乾燥が甘いところがあるという事が分かり（当初は乾燥には3年以上かけてあり、十分との事で制作にかかったのですが）、すったもんだしました。他の板に変えるという事も検討しましたが、T様や材木店の社長さんとも相談の結果、この板で決行という判断をしました。難しい判断でしたが、最終的には唯一無二の個性的なウォールナットの魅力が大きかったと思います。それほど他の板には無い味わいがありました。

ただし乾燥が甘い部分が少しやせてくるという問題が残りました。いずれまた天板を削りなおして使うという可能性も含ませての制作となりました。（天板は少しぶ厚めに作ってあります。）

以上のように、今回の仕事はいろいろと大変でしたが、なんとか納品させて頂けてほっと胸をなでおろしています。新しい事業の開業というお忙しさの中、お声を頂き、ありがとうございました。

N様には昨年の10月に工房にお出で頂き、「リビングの中心に無垢一枚板の座卓を置きたい」とのご希望をお聞きしました。一緒に材木店へ行き、栃（トチ）のきれいな杢が出た板を選んで頂きました。納品は新居が完成する今年の夏という事で、じっくりお待ち頂きました。

完成した栃（トチ）無垢一枚板の座卓は想像以上に美しい杢が見られ、すばらしい物でした。新居は木の香りがいっぱいの自然素材こだわりのお宅でした。その中に生活の中心として置いて頂けるのは本当に嬉しく思います。又、追加で特注の椅子の制作を依頼して頂きました。少し難しそうですが、頑張ってご満足頂けるものを作ろうと思います。

以前「まちかどてくてく歩き」のイベントの時、当工房におみえになりました。その時はいろいろ四方山話をして終わったのですが、それから数年して当工房におみえになりました。「オーディオが趣味で、音楽を聴くのにゆったりと座れるソファーを作ってほしい」というご希望でした。そして、座った時に一番音響が良いポジションになるように高さを考えて（少し低めに）ほしいというご希望でした。

O様は既にある程度決まったイメージのデザインをお持ちでしたのでそれをお聞きし、具体的にデザイン図面を起こして了解をいただきました。材質は胡桃（クルミ）で、肘掛の幅も広くして物が置けるようにしました。クッション付きですが、はずして板座のすわり心地も味わって頂けるように無垢の板座で制作しました。（クッション生地はO様に選んで頂いた物です。）

納品させて頂いた時は立派なオーディオセットにびっくりしました。私も音楽が大好きなので、「こんなオーディオでレコードをかけてみたい」と思ったものでした。（「いつでも来て下さい」というありがたい言葉を頂きました。）そんな部屋にこのソファーを置いて音楽を聞かせて頂きました。すごく良かったです。「いっぱい愛用して頂けそう」と思い、嬉しくなりました。

さて、今回のようにお客様のイメージを最大限に形にする事も私どもの仕事の大切な部分です。要はお客様に喜んで長く使って頂ける家具をつくることが大事ですから。そんなわけで、今回のような仕事もこれからもやっていきたいと思います。

今回のソファーのサイズ、材質等詳細は以下の通りです。