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木になる話
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水引き(拭き)研磨
加工した材料を最終的に仕上げるのが「サンディング」(研磨)という工程になります。(この後組み立てをしたり、塗装をしたりというふうに進んでいきます。)

これまで「里山だより」などでも何度もこの「サンディング」の工程については書いてありますが、私としては(というか業界としては)ごくごく当たり前すぎてあえて書かなかったことがあります。それがこの「水引き研磨」というものです。

サンディングの順番としては大体次のようになります。(当工房の場合)
サンドペーパーのサンディング1.#240ぐらいのサンドペーパーでサンディングをする。

※当工房の場合たいていは「鉋仕上げ」をしているからこのぐらいの番手でできるのであって、鉋掛けをしてない場合はもう少し荒いサンドペーパーから始めます。例えば「#120→#180→#240」という風に。(鉋掛けをしたほうがよほど早くできそうです。しかも美しく仕上がりますし。)

2.水引きをする

3.乾いてからさらに#400ぐらいのサンドペーパーで仕上げの研磨をする。
水引き「水引き」というのは布に水を含ませて絞り(べたべたではいけません)、材の表面を拭いて濡らすことです。

木の表面には目には見えないぐらいの細かい穴が開いています。(道管とか仮道管などといいます。)その部分が実は毛羽立ってくるのです。手で触ってザラザラと感じるのはこの毛羽立ちです。特に塗装の後や、普段使っているうちに湿気を吸ったりなどしてこの毛羽立ちが後から出てきがちです。ですので、ここで一旦強制的に毛羽立たせ、その毛羽立ちを完全に取っておくことで後々あまり毛羽立ってくることなく、つるつるの触感になるようにするのです。

こんなことはまともに木工を行っている人なら誰でもやっていると思います。だから、あえて今まで書いたことはありませんでした。でも、この工程を入れるか入れないかで仕上がりは格段に違ってきます。アマチュアで木工をやっている方、今度ぜひやってみてください。

ついでにもう一つ…先ほど「鉋掛け」の後と書きましたが、私の感触からすると鉋掛けをした後と鉋掛けをしてない場合の後では、この「水引き」をした後の毛羽立ちが全然違います。つまり鉋掛けをするとほとんど毛羽立ちが出ないくらいです。鉋によって微細な毛羽もすでに相当部分が削り取られているからだと思います。そういう意味でも「鉋掛け」というのは仕上がりに差を生み出す技だということが言えると思います。