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里山便りバックナンバー2011
里山便りバックナンバー2011
2011.12.26
「本年最後の納品旅行」
通常、里山便りには納品の旅の事はあまり書かないようにしています。今までも思い出に残る納品の旅はたくさんありました。でもそれを書くと、すべて書かなくちゃならないので…でも今回は特別な意味があって書いています。

今回は広島行でした。広島は30年以上も前、高校生の時に修学旅行で行ったきりでした。その時にも宮島、そして平和記念公園を訪れました。平和記念資料館を見学した時の事でした。原爆の事実を伝える展示物を見て回っていた時、ガラスケースの中に丸焦げに焼け焦げた死体(私はその時は本物だと思っていましたが、あるいは蝋人形のようなものであったかもしれません)が置いてありました。あまりにも生々しいその姿にそれ以上見学する事ができず、途中で退館してきてしまいました。

その後、ずっとその事は胸のどこかに引っ掛かっていました。今回たまたま縁あって広島のお客様のお宅へ納品の機会を得たので、是非もう一度訪れてこの資料館を最後までしっかり見てこようと思ったのでした。妻は一度も行った事が無いというので、よい機会だという事で一緒に行く事にしました。

フェリーさて本年も押し迫った12月23日、夜中の3時過ぎに出発。東海北陸道、名神高速道路、中国道そして山陽道を走り一路広島へ。まずは一気に宮島へ。宮島へはフェリーで渡ります。なんだか旅の雰囲気になってきました。
厳島神社厳島神社世界文化遺産の厳島神社です。その美しさは言うまでもありませんが、「木組みはどうなってるんだろう?」とか「修復(メンテナンス)のための仕組みはどうなってるんだろう?」とか、そんな事を気にして回っておりました。(職業病ですかね?)

干潮に合わせて行ったのですが、鳥居に触れるところまで潮は引いてくれませんでした。残念。
アナゴ飯昼ご飯は「アナゴ飯」。思ったより薄味で食べやすかったです。(食べかけの写真ですみません。)その後広島市内へ戻り、ホテルに荷物を置いてから市内観光(ショッピング)をして、夕食は牡蠣専門店で食事をしました。
牡蠣宮島で食べた焼き牡蠣もよかったですが、こちらがすごく美味しくてもう大満足でした。イタリアンな味付けの牡蠣の料理が次から次へと出てきました。すべておいしかったです。川べりにあるロケーションもグーでした。
市電広島市内は今でも市電が活躍しています。安くて大変便利でした。だいぶ前に市電を廃止してしまった岐阜市は今買い物客も観光客も少なくなり、閑古鳥が鳴いている有様ですが、こちらは人も多く活気を感じました。

市電を残すのにはきっといろんな苦労もあると思いますが、市電という文化を残す気概が広島市の活気を支えているのではないかなあと思ったのでした。
平和記念資料館平和記念資料館次の日はいよいよ平和記念公園へ。思い出の「平和記念資料館」へ入りました。

高校生の時とは資料内容もずいぶん変わっていました。少しソフトになっていました。それでも、原爆の悲惨さを伝えるには十分な展示内容でした。妻は途中、涙を流しておりました。あらためてゆっくり展示物を見る事ができ、高校生の時とはまた違った見方で見ることも出来ました。
平和記念資料館平和記念資料館少しでも多くの人に見ていただきたい、原爆の事を伝えたいという関係者の方々の気持ちも伝わってきました。私も日本人なら必ず一度は訪れるべきところだと思っています。大変意味のある再訪になりました。
原爆ドーム原爆ドーム資料館を出て原爆ドームへ向かいました。原爆ドームの前では被爆者の方が体験を語っておられました。何よりも貴重な生の言葉でした。

そばには今年起きた東北大震災の被害者の方がおられ、「原発」についての「国民投票法案」を作るための署名運動をなさっていました。
広島焼き昼ご飯は名物の「広島焼き」です。朝は「資料館を見てからお好み焼きなんて食べられるかなあ?」なんて2人で話していましたが、しっかり食べれました。人間って何でしょうねえ…。
ダイニングテーブルそうそう、勿論ちゃんと仕事もしましたよ。その後お客様の家へ無事納品してきました。そして帰宅の途へと着きました。とても充実した2日間、大満足の2日間となりました。又いつかプライベートでも来てみたいと思ったのでした。
2011.12.12
「近況」
欅テーブル12月に入ってめっきり寒くなりました。工房の方は近々納品する広島県U様の欅テーブルの制作を終え、東京都S様の欅テーブルの制作に入っています。

このところ重い一枚板の仕事が続くので、持病の肩痛がさらに悪化しており、接骨院通いも頻繁になっています。先生曰く「首のヘルニアっぽいですね。直しようが無いですね…手術以外には。でも手術はしたくないですよねえ。まあ、年がたてば自然に治る事もありますから、だましだまし行くしかないでしょう。出来るだけ運動をし下さい」との事。まあ、つきあって行くしか無いですね。
堆肥づくりの箱中庭のウッドデッキが腐って古くなったので、張りかえようとしてはずしてみたところ、まだ何とか使える感じなので、切って堆肥づくりの箱を作りました。

この中に落ち葉を入れて、水を撒いて踏み固めていきます。そして尿素あるいは石灰窒素をぱらぱらと振りまいて、さらに落ち葉を入れて…これを繰り返します。これが結構大変でした。

落ち葉まず大量の落ち葉が必要な事。1トン用のフレコンバッグに5杯入れましたが、踏み固めるとせいぜい30cmぐらいにしかなりません。(しまった、大きな箱を作りすぎた…。)

しかも落ち葉というものは、いざ集めるとなると意外と無いものです。軽トラで山際へ取りに行きますが、なかなかいい場所がありません。しかもそうやって苦労して作っても出来る量はたかが知れていて、うちの広大な畑に入れるほど大量な堆肥ができるわけではありませんから…まあこれも経験、やるしかないでしょう。
干し柿干し柿もすでに食べれるようになっています。しかし、今年は温かかったせいでカビが生えてしまいました。(干す際に熱湯に付けたのですが…。)
干し柿仕方がないので焼酎で拭いてみました。そして何とか食べれるようになりました。気のせいか柔らかくなったような…味もいいです。でも食べるのは私一人、さびしいなあ、せっかく作ったのに…。
漬け物用大根漬け物用の大根も大きくなってきました。とりあえず30本ぐらいを抜いて洗って、軒下に干しておきました。あと2週間ほどしてから漬ける予定です。その間に猿に取られない事を祈ります。
2011.11.01
「この頃の事」
ずいぶん長く「里山便り」を書いていません。その間も半布里工房の日常は、普段通り過ぎています。やっとかめ(久しぶり)にこの頃の事を書きます。

畑の草引き9月の末ごろになりますが、畑の草引きをしました。秋冬野菜の大根、白菜、キャベツを植える準備です。私が使っている草かき(「うの首」と言っていますが)は、祖母が生前に使っていた物です。ですからもう20年以上前から使っている事になります。
うの首今では先がすっかりすり減って丸くなっていますが、一番使いやすいので愛用しています。何度かホームセンターや金物店で新しいのを買って試しに使ってみた事もありますが、どれも地金が弱くてすぐに曲がってしまったりして使いにくかったです。

結局祖母譲りのこの草かきに勝るものはありません。使い古して、いい感じに使いやすくなっているのがまた良いのです。やはり何でも昔の物が良いというお話でした。
野菜あ、そうそう、その後で植えた野菜は今ではこんなに大きくなっています。
10月になって稲刈りが始まりますと、もみ殻が出ます。こちらではもみ殻は自由に無料で持っていっていい事になっているので(勿論モラルの問題はありますから誰でも良いという事ではないと思いますが)、軽トラで行ってどーんと頂いてきます。

薫炭(くん炭)そして「薫炭(くん炭)」にして畑にまきます。土を中和させたり、通気性・保水性を良くしたりなど、土壌改良になります。連作障害を防ぐのにも効果があるとか。まあいろいろ効果もあるようです。
木製フェンスの設置木製フェンスの設置旧工房跡地を楽しい庭にしようと思い立って、なかなか出来ずにいますが、とりあえず第一弾として木製のフェンスを作りました。

この後は?排水性が悪い土地のようなのでその対策をしたり、全体に土を入れて植物を植える準備をしたり、それから…いろいろ予定はありますが(今は内緒)、まぁ少しづつ楽しんで作っていきます。

先週、渋柿を収穫して干し柿を作りました。今年は数が多いです。180個ぐらい作り、工房の軒先に吊るしてあります。うまく出来ればいいですが、今年は温かいのでどうでしょうか。もう少し寒くないとうまくいかないのですが。
干し柿作り 干し柿作り 干し柿作り
桜のダイニングセットさて工房の中ではいつも通りの時間が進んでいます。現在はM様の桜のダイニングセットの制作中です。

希少となってきた山桜の幅広の板を接いで、2枚接ぎのテーブルを作っています。今月下旬の納品目指してもう少しです。
2011.07.28
「収穫の夏」
暑い暑い夏が続くかと思いきや、ここにきて洪水、土砂崩れが心配になるほどの大雨続きです。どうなってるんでしょうか?さて、工房は6月、7月と納品に追われて大忙しでした。(その間に息子の夏の甲子園県予選も応援に行かなきゃならないし…結果はベスト8でした。よく頑張りました。)今はようやく一段落して、ほっと胸をなでおろしている所です。

ところでプチ自慢の畑の野菜は、今年もよく出来たほうだと思います。猿の襲来にも少しだけ会いましたが、最小被害で済みそうです。猿に取られる前に何とか収穫できました。

玉ねぎジャガイモ玉ねぎは前回書いたとおりですが、ジャガイモが今年はまた豊作でした。全体に大きく、収穫量としては昨年より30%アップといったところでしょうか。味ももちろん、すごくおいしいです。
スイカスイカスイカは今年は2種類(大玉と黒い色のスイカ)作りました。まずまずの出来でおいしくいただきました。もちろん、親戚や知人、ご近所にもおすそ分け致しました。
トマトトマトトマトもよく出来ました。いつもながら我が家のトマトはおいしいです。(自慢)

こちらも今年は上出来です。
ミニトマトミニトマトは特に豊作です。かみさんが職場に持って行ってはおすそ分けをしています。
ネットメロンネットメロンそれともう一つ、今年は珍しく「ネットメロン」が好調です。元来ネットメロンはハウスで作るものなので、うちのようにいい加減な地這いの作り方ではうまくいくはずがないのです。

毎年あまりうまく出来ませんが、今年はよく出来ています。少し小さめのスイカほどの大きなメロンが結構な数出来ています。ネットの入り方もいい感じです。見た目はおいしそうです。

※写真で見ると草ボウボウですが、これも猿対策の一つ。猿に見つからないようにわざと草を取っていません…なんて、草取りができないことの言い訳っぽいですが…。先日納品したお客様のお宅がメロン農家でしたが、ネットメロンはやはり絶対雨に当ててはいけない事、水の管理が肝だという事をお聞きしました。また来年に生かします。

野菜作りの楽しみはいろいろあります。まずは何よりも、おいしい野菜が食べられる事。どこのスーパーや直売所の野菜よりもおいしいと思っています。とにかく完熟あるいはとれたての一番おいしい状態でいただけるわけですから。次に、我が家だけでは食べきれないので、すでに書きました通り、親戚や知人、ご近所などにおすそ分けするのですが、みなさんに喜んでいただける事。それが喜びです。みなさんに「本当においしい!全然違うわ!」という声をいただきます。

ある方はこんな事を言って下さいました。「ジャガイモ、おいしかったです。子どもがよく食べるから分かります。食べ方が全然違います。やっぱり心がこもっていますね。」本当にうれしいです。他には、日々大きくなっていく野菜の成長を見守る楽しみ、仕事の合間に畑にいくとなぜか気分がリフレッシュ出来る事など…。
畑の野菜 今年の野菜も大方7割がた終わりました。猿の被害も最小限で収穫ができて良かったです。8月の終わりになったらまた、秋・冬野菜の準備が始まります。
畑の野菜 畑の野菜 畑の野菜 畑の野菜 畑の野菜 畑の野菜
2011.06.07
「畑のこと」
ずいぶん久しぶりの里山便りです。3月11日以来、おおかた3ヶ月にもなります。その間いろいろありましたが、何とか日々の暮らしを粛々と送っております。畑もいつも通りです。

第一農場猿よけネットでぐるりと囲まれた、我が第一農場です。冬場に入れた牛糞堆肥の効果でしょうか、生育がいいです。イチゴ、玉ねぎ、庄屋ナス、黒陽ナス、ゴーヤー、オクラ、ジャガイモ、スイカ、トマト、ミニトマト、きゅうり、かぼちゃ、しょうがなどが植えてあります。
ジャガイモジャガイモはすこぶる育ちが良いです。例年より1〜2週間早い感じです。茎が倒れかかっていたので(葉が枯れて茎が倒れかけると収穫の合図です)1つだけ試し掘りをしてみたら、もうずいぶん大きくなっていました。もう少ししたら収穫です。
トマトとミニトマトトマトとミニトマトです。トマトはいつも通り2本仕立てです。ミニトマトはいつもどおり「ほったらかしジャングル」農法です。
イチゴイチゴはもうずいぶんいただきました。イチゴジャムも作れました。今年はいつもより甘い感じがします。なぜかは分かりませんが…。
きゅうりとカボチャきゅうりとその向こうにかぼちゃです。カボチャは普通は地面に這わせて作るのですが、そうすると場所も取るし草取りも大変なので、棚を作って吊りさげる事に挑戦してみました。うまくいくでしょうか?
第ニ農場工房前の第ニ農場です。玉ねぎ、ナス、きゅうり、ピーマン、ししとう、サニーレタス、ネットメロン、サトイモ、夏大根、ねぎ、綿花が作ってあります。玉ねぎはもうすでに茎が倒れてきましたので、収穫の合図です。
玉ねぎそしてつい先日収穫しました。200個ほどの玉ねぎを収穫し、涼しく風通しが良い所に(と言ってもなかなかいい場所がないので、工房の車庫の隅に)吊るしておきます。


今年は春先が寒く、決して良い環境ではありませんでした。全体に生育は悪いと言っていいと思います。(近所の人皆がそう言います。)それでも我が畑は比較的良く育っているんじゃないでしょうか。
野菜作り野菜作り日一日と目に見えて大きくなる野菜たち、種を撒き、芽が出るのを見ると、少しうれしい気分になります。野菜作りの楽しみがそこにもあります。
2011.03.11
「春の準備」
3月ももう半ばにかかるというのに、今朝は雪がちらつきました。梅の花はすでに満開ですが、まだ春らしい陽気とは言えません。それでも畑の方は春夏野菜のための準備をしていかなければなりません。最近はテレビの天気予報(データ放送)をよくチェックします。

猿よけネットまず先月の間に猿対策第2弾として「猿よけネット」をぐるりと張り巡らしました。周りの畑も猿よけのネットを張ってあります。以前とは景色もずいぶん様変わりしています。
猿よけネットこのように横だけでなく上まで覆ってしまうのが一番だと思いますが、それはそれでいろいろ問題もあるようです。例えば冬場に雪が降ると、その重みでつぶれてしまいます。ビニールハウス用の鉄のポールもぐにゃりと曲がってしまいます。

また全部覆ってしまうと鳥も入れなくなり、鳥が食べてくれていた青虫が増えてキャベツなどは食われ放題という事も起きているようです。
猿よけネット猿よけネット我が畑は今回「猿よけネット」を試してみました。グラスファイバーの支柱を使って高いネットを張り、猿が登るのを嫌がるような構造になっているはず(?)です。さてうまくいきますかどうか…何でもやってみないと分かりません。
牛糞堆肥牛糞堆肥そして先月、畑全体に牛糞堆肥を撒き、土に混ぜくっておきました。我が畑はこちらだけでも200㎡以上あります。もう1か所管理しているところを合わせると300㎡ぐらいにはなります。

軽トラでたっぷり2杯分買ってきてこちらの畑を中心に混ぜておきました。最近は堆肥も不足気味だそうで、探すのに苦労しました。ついでに「苦土石灰」も混ぜておきました。
ジャガイモの種イモそして昨日、ジャガイモの種イモを植えました。2、3日前に肥料を混ぜておき、昨日畝を8本切って約150個の種イモを植えておきました。すでに芽が少し出始めていたので、早くしないとと思いつつなかなかやる時が無くて気になっていましたが、ようやくできてほっとしました。

おいしいジャガイモが出来る事を祈ります。
2011.02.23
「アンダンテ 〜稲の旋律〜」
アンダンテ 〜稲の旋律〜先日の日曜日、はるばる高山市丹生川町まである映画を見に行ってきました。「アンダンテ 〜稲の旋律〜」という映画です。昨年製作されたもので、シネコンや映画館ではほとんど上映されない映画です。(ただし現在東京の「王子シネマ」というところでは再上映しているようですが…。)

各地方の文化会館や市民ホールなどで地道に上映されているようで、まず知っている人は少ないのではないでしょうか?でも、本当にいい映画です!

ちなみに2010年度「SARVH賞(年間最優秀プロデューサー賞)」を受賞しています。(この賞にはこれまで「パッチギ」「明日の記憶」「それでもぼくはやってない」「おくりびと」「ディア・ドクター」など、そうそうたる映画がとっています。)

そもそもこの映画を知ったきっかけは、非常に不純(?)な動機でした。先日、夜中にテレビを見ていたところ、「プライド」というミュージカルをやっていました。夜中なのに目もさえてしまっていて、全く何気なしに見だしたのですが、少し見ただけで「なんじゃ、この歌手は!すごい!」と一気に心をつかまれました。その歌手は「新妻聖子」さんと言います。

もともとミュージカル(とくに劇団四季)は好きで、劇団四季などは今日のようにメジャーになる前(20年以上前でしょうか?)、よくどさまわり的に地方の小さなホールで公演をしていたものですから、何度か見に行きました。そして、劇団四季は大好きになりました。久野綾希子の「エヴィータ」や「コーラスライン」、前田美波里がオーディションから受けて出演したという「アプローズ」、市村正親の「ウエストサイドストーリー」なども近隣の市民会館で見ました。

今回の「プライド」の新妻聖子さんの歌唱力にたまげていろいろ調べていたら、この「アンダンテ 〜稲の旋律〜」という映画に主演しているという事がわかり、その同名主題歌も歌っている事がわかりました。YouTubeでも聞き、大いに感激し、即iTunesでダウンロードしました。ちなみに、YouTubeで「夏は来ぬ」も見ましたが絶品でした。

そしてこの映画の内容を読んでいると、「これはなかなかよさそうだぞ」と。それで「どうしてもこの映画が見たい!」となり、調べていると、岐阜県では最後になる上映が、かの丹生川町で催される事が分かりました。これは行かずにはいられない!…と。

さて、前置きが長くなりましたが、この映画の内容は「食と農と大地、人間再生の物語」です。以下、公式ホームページから引用します。

Andante(アンダンテ)とは「ゆっくりと。歩く速度で。」という意味の音楽用語です。

●人間恐怖とひきこもりの生活から、必死に立ち直り、新たな自立の道を懸命に模索する映画の主人公千華。厳しい農業経営の傍ら、食と農業問題に独自の哲学を持ち、土と共に生きる晋平。ピアノの旋律が水田を奏で、稲の成長を育むような、千華と晋平の交流。困窮な貧農体験を内包し、報われなかった自分の夢を、知らず知らずの間に娘の千華に押し付けていた母親の悲しみなど、それぞれの生き方の中で、転機に立つ現代人の葛藤と再生を描く、最大の話題作が今、始動する!

●本映画の原作者である旭爪あかねは、自らの対人恐怖の苦しみや、ひきこもり生活の体験を、主人公千華に反映させている。日本の多くの若者に顕著に現れている現象、何ゆえ現代社会は苦しむ人々を生み出すのか、を本作品の大きな主題として、主人公の心の映像化を可能な限り試みたい。また、食と農業の問題も同じである。日本の食料自給率は39%程度である。安全性に疑問がある安い食品が海外から多く輸入されて、健康な体づくりの面で大いに問題である。食物アレルギーに苦しむ子供たちがいかに多いことか。映画を通じて食と農業の問題を掘り下げたい。そして、社会や自分の為に働く労働とは何か、労働の価値を見つめてみたいと思う。

物語:映画の主人公「藪崎千華」は、母親の強い希望で幼い頃から音楽の道を歩むが、音楽社会の競争は厳しく次第に自信を失くしてゆく。やがて自分自身をも見失い登校拒否となり、大学中退を余儀なくされる。大学中退後、アルバイト生活に入るが、職場での人間関係がうまく作れず、仕事を転々とする生活を繰り返し続ける。そしてとうとう、一日中家に閉じこもるようになり、日毎の両親とのいざこざも絶えなくなってしまう。

そんな自分を思いつめた千華は、千葉県の水田へ、「誰か私を助けてください。」と書いた紙切れをペットボトルに詰め、「心のSOS」として置いてくる。暫くして、この水田の持ち主でありペットボトルを拾った広瀬晋平から手紙が届く。その手紙の内容は真剣に千華のSOSに応えようとしていた。千華は、自分はどのような人間か、どうして他人と会うのが怖いのか、長い長い手紙を晋平に送った。こうして始まった千華と晋平の交流は、千華のひきこもり生活を徐々に変化させていくのだが…!

さて、感想は…言うまでもありません。大感動でした。こんないい映画を多くの人が知らずに過ぎていくなんて…。この映画を上映する機会を作った丹生川町の社会福祉協議会に大拍手を送りたい気持ちです。我が富加町でもやるといいのに…。

劇中、広瀬晋平(筧 利夫)が言います。
「農業そのものが非効率的な産業です。…でも非効率的だということがそんなに悪い事なんでしょうか。」

そして、晋平の農の師匠である山原さん(松方 弘樹)が千華に言った言葉。
「あなたはもうすでにつながっている。晋平君やその家族、横芝光町の人々、そして横芝光町とも…。」

晋平の姪、奈緒(紗綾)が言う言葉。
「(黙ったまま、育ちすぎたナスをハサミで切りながら)もう分かってると思うけど。全然役になんか立たなくたって、あたしは千華さんの事好きだからね。」

そして千華が母親に言った(手紙で書いた)言葉。
「お母さん、お母さんは私が赤ちゃんだった時、日ごとに目に見えて大きくなっていく私の側にいて、それだけで幸せな気持ちにはなりませんでしたか。お母さんは、私がピアノが上手だから、だから私のことが好きで自慢なのですか。ピアノを弾かなくなった私、大学や会社に行けなくなってしまった私は嫌いですか。…ただ千華がそうして生きているだけで充分なんだ、と言って欲しかったのです。…そうじゃない。お母さんは、自分がピアノを弾きたかったんです。…お母さん自身の人生を生きてください。自分の力で自分を幸せにしてあげて下さい。」

横芝光町の駅舎に駅長さん(中条 きよし)が書いて貼っている言葉。
「卵を割らなければ、オムレツは作れない」「急行列車でも各駅停車でも、いつか必ず目的地にはたどり着ける。」

…印象的な言葉の数々。現代の様々な問題を解く鍵となる言葉のようにも思えます。

ただ一つ残念だったのが、日曜日の午後でしたが、見に来て見える方のほとんどがお年寄りばかりで若い方が少なかった事です。この映画は若い人こそ見るべきです!感受性の高い、感性の瑞々しい中高、大学生。子育て中の若いお母さん、お父さん。現在農業に従事、あるいは興味を抱いている若い人たち。社会を支えている働き盛りの多くの人々。そういった方が是非見るべき映画だと感じました。

ちなみに、ごく少数でしたが小学生の女の子も見に来ていて、その子も涙を拭っていました。小学生の心をも十分ふるわせる事が出来る映画だって事です。ラストシーン、金色の稲の穂が風にそよぐ広々とした田んぼのまん中で、晋平やその家族、千華を支えてくれた人々や町の人が見守り、母親が見つめる中でグランドピアノを弾いてコンサートをする千華。

そしてラストのラスト、エンドロールの流れる中、新妻聖子(千華)が主題歌「アンダンテ〜稲の旋律〜」を歌います。ふるえます。久しぶりにさわやかな感動、いい映画を見ました。これから、原作である旭爪あかね著「稲の旋律」を読みます。ちなみに、高校生の我が息子が一足先にこの本を読んでしまいました。一気に読み終えたようです。
2011.02.21
「お客様の事」
新年の挨拶にも書きましたが、昨年ぐらいから、以前にご購入頂いたお客様から再度ご注文を頂く(いわゆるリピーター)、あるいはそのお客様からの口利きのお客様(いわゆる口コミ)が多くなりました。

ダイニングテーブルに続いて椅子やベンチ、収納棚をご注文頂いた方(横浜市 S様)。座卓に続いてダイニングセットをご注文頂いた方(美濃加茂市 N様)。学習机をご購入頂いたお客様(お姉様)のご紹介で食器棚をご注文頂いた方(北名古屋市 M様)。又、新築記念の披露で額をご購入頂いたり、娘さんの出産のお祝いで子供椅子を注文頂いた方(那須塩原市 M様)。

手作りの学習机現在製作中の学習机も、3人のうち2人がリピーターの方です。一人はお兄ちゃんに続いて妹さんが新入学という事でご注文を頂き(鵜沼市 F様)、もう一人はパソコン机として使用したいという事でご注文を頂きました。(春日井市 I様) F様は娘さんを伴って再び工房へお見えになり、I様は私が自宅へご訪問をしてパソコンの採寸などを行いました。その際に以前お作りしましたダイニングテーブルにも再会しました。
おせち料理おせち料理この間は以前ご購入頂いたダイニングテーブルの補修(小さな割れが広がってきたため、千切り加工で割れ止めを施しました)を兼ねて、再生(天板表面を再度磨き直し、塗装をし直しました)も致しました。(つくば市 O様)

当工房も開業10年を過ぎてそういう周期になってきたのか、とにかくこのところ、以前のお客様に再びお会いしたり、以前作った家具に再会する機会が多くなっています。

そんな時は久々にお会いする嬉しさと共に、我が手塩にかけた家具を見てやはり懐かしい気持ちになります。そして、とても大切に使って頂いているのを見たり、話をお聞きしたりして本当に嬉しくなります。本当にそんな年月が経ったのだろうかと思うぐらいきれいに使って頂いている物もあったりします。

振り返って我が家の家具は…それほど大切に使っていないんじゃないか?…逆に教えられるぐらいです。始めたばかりに作った作品に再会したりすると、今となるとその未熟さに恥ずかしい気持ちになる事もありますし、年月が過ぎて自分のスタイルの変化に気づく事もあります。(勿論、その時はその時で精一杯の力でお作りしていますので、悪しからずご了承を…)又、久しぶりにお話しして、メンテナンスの事とかいろいろアドバイスさせて頂く事もできて一石二鳥といったところです。

それに、久々に聴くみなさんの言葉がとても嬉しいです。

「本当に気に入っていて、家族のだんらんもお客様の応対も、仕事も全てこのテーブルです。みなさんに褒めてもらいます。」(つくば市 O様)

「いいでしょ。このテーブル。あっ、そうか私が作ったんじゃないわ。佐藤さんが作ったんだったわね。(笑)本当に大切に使ってますよ。食事の後はすぐに拭いて気をつけてますよ。きれいでしょ。3年も経ってると思えないでしょ。」(春日井市 I様)

「本当に気に入ってます。佐藤さんの作る家具は、なんか(強調)いいんですよ。本当、大好きです。(私が「学習机はそんなに多く注文があるわけではないです」と言うと)えーっ、どうして!絶対いいのにね。」(鵜沼市 F様)

などなど…。勿論、私のまだまだ未熟さのためにご不便をおかけし、修理などを行う場合もあります。(そういう事が起きないようにこれからも修業を続けていきますし、そういった事が起きた場合は勿論、誠意を持ってご対応させて頂くつもりではいます。)

それにしても、新しいお客様との出会いは当然嬉しい事ですが、こういったリピーターとなるお客様は又違う意味で格別な喜びがあります。こういう出会いが多くなるように精進しなければと思う今日この頃でした。
2011.01.06
「正月グルメ」
ようやくお屠蘇気分も抜けて来た頃でしょうか。大晦日、お正月の料理はその土地によって様々でしょう。我が家では毎年大晦日には「年越しの煮物」「いわし」「すき焼き」そして、ちょっと奮発して「飛騨牛のステーキ」などを食べます。(写真が無くてすみません。)勿論お酒も…。これだけでいつもお腹がいっぱいになってしまい、結局「年越しそば」は食べずじまいになってしまいます。

お雑煮そして、お正月の朝は「お雑煮」。わたしは5個か6個ぐらい。近頃の子どもたちはお餅をあまり食べなくなったようで、大体2個ぐらい。(すでに他界していますが)私の父親は、昔は一人で10個以上食べたと言っていました。

そして、お昼はいよいよ「おせち料理」をいただきます。例年ならばスーパーで出来合いのおせち料理の食材を買ってきて、盛りつけて「ハイ出来上がり」となるのですが、今年は実はスペシャルなおせち料理でした。
おせち料理というのは…当工房のお客様で埼玉県で喫茶店を経営されている方がみえます。某有名料理旅館で懐石料理の修業をされて独立し、懐石料理をランチなどで出してみえます。正確に言うと「懐石ランチのお店」といった方がいいかもしれません。その方に今回のおせち料理を注文致しました。
おせち料理おせち料理といえばなんだか形式的な感じで、今までは「決めごとだから形だけでもテーブルに載せておくか」ぐらいの気持ちでいたものですから、正直言って結局全部食べずに残してしまう事が多かったです。ところが今回のおせちはさすがというか、いわゆる「素材の味を生かす」っていう感じで大変おいしくあっという間に全部食べてしまいました。(※重箱は我が家の物です)
おせち料理何といってもどれも「手間暇をかけて」あるというのが分かります。それにどの食材もこだわりの産地から取り寄せた物のようで、オーナーの心意気が伝わります。それに毎回思うのですが、心配りが細やかです。包装の箱にはちょっとした手作りの折り紙がつけてあったり、松の葉や松ぼっくりが入れてあったり…オーナーのセンスが表れています。
おせち料理 おせち料理 おせち料理
お品書きそれに今回は直筆のお品書きなどが入っていました。便せん4枚にわたってそれぞれの由来や産地、食べ方などが丁寧に書かれてありました。これを読むといっそうおいしく感じられます。

このような心をこめた物作りは大好きです。私も負けないように頑張ろうと心新たにした新年でした。
2011.01.01
「年始のご挨拶」
明けましておめでとうございます。昨年もおかげさまでたくさんの方から仕事を頂き、何とか1年間を過ごさせて頂く事ができました。

中でも昨年特徴的なのが、リピーターの方からのご注文、あるいは当工房のお客様から聞いてきたという口コミによるご注文などが例年以上に多かったという事でした。新たなお客様との出会いの嬉しさもさる事ながら、こうしたお客様との仕事も格別な嬉しさがあります。
工房内にて半布里工房は今年も変わらず、「お客様の方を向いた」スタンスで仕事をしていきます。どうぞよろしくお願い致します。