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里山便りバックナンバー2009
里山便りバックナンバー2009
2009.12.22
「師走」
かんながけ千切りいよいよ今年も残り少なくなってきました。いつものことながら、年末は忙しいです。…それは分かっているはずで、もう少し早めに仕事も家のことも進めておけばいいのに、なかなかできません。

不思議なもので、かえってそういう時に余分な仕事を増やしたりしてしまいます。私だけでしょうか?いずれにせよ、先々週あたりからてんてこ舞いの工房となっています。

埼玉のY様、ダイニングセット完成致しました。同じく埼玉のM様、ダイニングテーブルは完成致しました。残るベンチは年明けから制作の予定です。東京都羽村市のS様、炬燵座卓ほぼ完成です。間もなくお届けできると思います。

さあ、あと少し、がんばるぞ!
2009.12.18
「冬到来」
一面霜畑今朝はことのほか冷え込みました。外に出てみると一面霜が降りて真っ白になっていました。

天気予報でも言っていたので、昨日のうちに畑のたまねぎなどは、マルチの上からさらにもみ殻をかぶせて養生をしておきました。昨年から始めた自己流の方法ですが、効果は出ています。ソラマメの苗も土寄せをしておきました。
降雪お昼ごろからは雪が降り始めました。こんな本格的な雪は今日が初めてです。暮れには今年最後の納品が待っていて高速で遠出となりますが、昨夜のうちに車のタイヤも変えておいたのでばっちりです。
薪ストーブ工房の薪ストーブもごうごうと燃えています。ついでに焼き芋もして食べました。今年は薪ストーブが大活躍の寒い冬となる事でしょう。
2009.12.03
「学習机プロジェクト 締切迫る!」
学習机すでにお知らせしていますように、「学習机プロジェクト 〜5台限定・特別価格〜」の締め切りが今月13日と、もうすぐになりました。おかげさまで3人の方からご注文も頂いており、あと2台となっています。今お考えになっている方、できるだけお早めにどうぞお願い致します。

ところで、今回のこの「学習机プロジェクト」、詳しくはこちらでご覧頂きたいと思いますが、もう少しだけ付け加えをしたいと思います。それは、この学習机に使う材料となるナラの無垢板の事です。

一般的によく目にする「ナラ材無垢板の学習机」ですが、おそらくはたいていの場合、幅の狭い「製品」を使い、それを接ぎ合せて天板にします。
乾燥済みの板※「製品」というのは、材木店で大量に山積みされて売られている乾燥済みの板です。たいていの場合は小径の丸太を大量に製材して板にしたもので、いろいろな丸太の板がごちゃまぜになっています。こちらの写真の中の一番右側に映っている幅の狭い板がそれです。(☆印が書いてある板です。)左側の2枚が今回使用する板ですので、その違いは歴然とわかると思います。

ですから、例えば奥行が70cmの天板をこの板(製品)で接ぎ合せて作ろうと思うと、4〜5枚ほどを接ぎ合わせる必要があります。必ずしも共木ではありませんから、色合いや表情が違っていたりして、いかにも接ぎ合せてあるという印象になります。
乾燥済みの板今回使用致しますナラの板は、ずっと以前に私自身が市場で丸太で買って、製材・乾燥しておいた大きな板です。(表面に見えるシミは人工乾燥機に入れた時の汚れですので、削ればすぐに取れますのでご安心を。)

もともと直径が70cm近い丸太でしたので幅が65cmほどの大きな板です。これを欠点を避けながら割り直してもう一度接ぎ合わせ、幅が70cmの天板を作ります。おそらく3枚接ぎぐらいでできると思っています。(厚みは30mm前後) 同じ一枚の板、あるいは同じ丸太の木(共木)を使いますので、接ぎ合わせた感じは無垢の板の質感が十分に味わえるものと思います。

しかも1年以上の天然乾燥の後、人工乾燥機で乾燥し、そのあと何年も工房に寝かせておいた(シーズニングといいます)ものですので乾燥はばっちりです。十分に暴れるだけ暴れさせておいたわけですので、今後の反りやねじれなどの問題も少ないと思います。
学習机このような事は、一般のお客様が家具を購入される上で、あるいはあまりお考えにならない事かもしれません。でも確実に「違い」があると思っています。このような事も選択の要因の一つにして頂ければありがたいと思う私であります。
2009.11.20
「日常」
干し柿先日採りました渋柿を干し柿にして工房の軒先につるしました。皮を剥いて紐で縛り、さっと湯にくぐらせて吊るします。まぁ、そんなに良い柿でもないのでうまくできるかどうかわかりませんが、できればもうけものぐらいな感じです。
猪柵相変わらず猪と猿の襲来は続いています。もう当たり前で、驚くほどの事でもないようになってます。

近所の人が猪除けの防御網を張ったので、自然とイノシシは追われて、私の畑の後ろから出入りする事になってしまいました。そこで私もやむなく、畑の奥…山際の所に防御網を張りました。誰かが追えば又どこかで誰かが困る…まさに、いたちごっこです。
猿の軍団この写真は猿の集団の移動です。見えますでしょうか?私の場合、今(冬場)は作物をあまり作っていませんので被害はありませんが、柿は取られてしまいます。

だから取られる前に取ってしまいました。少しだけ残った柿を木の上でボス猿らしき立派な猿が食べていました。渋かったのか、放り投げていましたけど…。
いちごそれと、もう遅いと思うのですが、イチゴの株を植え替え(定植)しました。伸び放題、雑草に埋もれ放題でほったらかしだったので、少しだけ救出しました。

本当は11月に入ったらすぐにやる方がいいそうですが、まぁこちらもダメ元で、今からでもいいだろうと思いやりました。どうなる事やら…。
カラスウリ里の秋は穏やかに、でも忙しく、かつスリリングに過ぎていきます。
2009.11.16
「再びお手紙メール」
前回の里山便りの影響もあるのでしょうか、昨日、一昨日と多くのお客様が工房にお出で下さいました。特に一昨日はほぼ同時に4組10人のお客様がいらっしゃり、大変な事になっていました。
富加町の町民祭 富加町の町民祭 富加町の町民祭
しかもみなさん突然のご来房でしたので、一緒になってしまいました。来て頂けるのは言うまでもなく嬉しい事ですが、どの方にも十分な対応ができない結果になってしまって、大変申し訳なく思っています。

しかも、あわただしさの中で、不覚にもみなさんにお名前などを書いて頂く事さえ忘れてしまいました。一昨日おいで頂いたお客様、できましたらいつでも又ゆっくりお越し下さい。メールやお電話なども頂けると嬉しいです。又、このような事が起きないようにするためにも、できましたら事前にお電話やメールなどを頂けますとありがたいです。

さて、又々お客様よりお手紙メールを頂きました。先の里山便りに関してのお手紙メールです。

佐藤様、お元気ですか?最近里山便りが頻繁に更新されて、楽しく拝見しております。「チルチンびと」も、実際に掲載されている本を見ました。(本屋で立ち読みですが…)本に載っていると、自分の家具なのに自分のではないような、不思議な気持ちになります。家具を探し求めていた頃の自分--雑誌の家具カタログを見つめて憧れとため息が混じった、「いつどこで私の求める家具に出会えるのだろう」という感情をいだいた自分--を思い出します。

里山便り10月30日号に山桜2枚接ぎダイニングテーブルの注文が続いたとの記事がありますが、私が推測するには佐藤さんのホームページとチルチンびと両方に載っている私のダイニングテーブルがとっても素敵だから、というのが理由だと思います。(ちょっと自慢)

里山便り11月5日号11日号も拝見致しました。K.K様やS.M様が私と同じ考えで佐藤さんに決めた事がよくわかります。家具のように値が張り、大きく、毎日使う物を実物を見ずに購入すると、普通は一抹の不安が残るのでしょうが、私は逆で、出来上がりをワクワクしながら待ちました。

そんな期待感がもてたのは、佐藤さんのホームページに材料や作り方、今までの作品に始まって職人としての心構えや佐藤さんの生活スタイルまで、あらゆる角度から「佐藤さんの人間性」が載せられているからです。きっと家具作りが大好きで、丁寧さにこだわりのある方、そして「家具を使う側の立場に立った」家具作りをしている方だと見る者に感じさせるホームページになっているからです。

ホームページからはその人の人柄がにじみ出てきます。私の願いは、私のように佐藤さんの家具で豊かな心になる人が増えることと、佐藤さんがいつまでもお元気で美しい家具を作り続けて下さること、この二つです。

気がつけばπチェアに3時間。疲れる様子はありません。
11月11日 静岡県熱海市 S.N

このお手紙の掲載をお願いした所、以下のような追伸も頂きました。

お返事ありがとうございました。里山便りへの掲載はOKです。私の文章自体は稚拙ですが、佐藤さんの仕事ぶりを多くの人に伝えられるはずです。そして、家具の注文が増えるのでしょうが、佐藤さんはどんなに忙しくても決して手を抜いて作ったりすることはない、私に丁寧に作って下さったように、他の方にも時間をかけて心の吹き込まれた家具を届ける方だと、ホームページを拝見したり実際にお会いしたりしてそう感じます。何より、佐藤さんの作った家具が私にそう教えてくれます。

そちらはかなり寒いのでしょうか。熱海は薪ストーブを使いたくてもまだ寒くなく、嬉しいような寒くなってほしいような複雑な心境です。またメールさせて下さい。
11月11日 静岡県熱海市 S.N

嬉しくて涙がちょちょぎれそうです。(岐阜弁?このニュアンスわかるかなあ?)過分なお言葉、ありがとうございます。S.N様は納品させて頂いてからすでに半年以上経っています。納品後も当工房の事を気にかけて、いつまでも見守っていて下さるなんて、こんなに嬉しい事はありません。

それにしても、私の拙い「里山便り」を楽しみにしていて下さるお客様もいらっしゃるという事を身にしみて感じました。今まであまり多く里山便りを更新してきませんでしたので、これからは少しでも多く出そうかなと思います。あまり筆まめな方ではないので、しょっちゅうというわけには行かないと思いますが…。
2009.11.12
「町民祭に"おんさい"」
富加町の町民祭昨年の里山便りにも書きましたが、今週の土日(14、15日)に、わが町富加町の町民祭(産業祭)が行われます。(時間は10;00〜15:00です。)

あまり派手ではありませんが、近隣からは毎年多くの方が来られます。中には「めっけもん」があるかもしれませんよ。どうぞ「おんさい」「いりゃあ」「こ(来)やあ」。
富加町の町民祭 富加町の町民祭 富加町の町民祭
私の個人的おすすめは、まず何といっても地場産の「豚肉」です。超人気ですので、朝早く来ないと売り切れは必至です。遅くとも9:00ぐらいまでには来て頂きたいです。

次に「半布里道場」の手打ち蕎麦です。元々趣味で始められたのが、今やちょっとした有名人…手打ち蕎麦の打ち方を一般の方に教えたりする事もしておられます。

工房近くにある「松井屋酒造」の地酒もあります。それから、もちろん地場産の野菜!その他にも、へぼ飯や松茸ごはん、それに富加町が以前から取り組んでいる「黒米」「赤米」、そしてそれを使ったまんじゅうなんかもあります。「黒米のお酒」なんてのもありますよ。

「まねだ聖子 ものまねショー」「しいの実 歌謡ショー」なんてのもあったりして…さすがというか、いい感じの田舎でしょ?(=^_^;=)

山々もずいぶん紅葉してきました。天気が良ければのどかな秋の1日を気持ちよく、楽しく過ごして頂けると思います。ついでに半布里工房も訪ねて頂ければ嬉しいです。私もきっと町民祭へちょこっとだけ行っていると思いますから、お電話を頂ければありがたいです。

(熱海市S.N様、次回は貴方からのお手紙を載せさせて頂きます。)
2009.11.11
「みんなに知らせたい(木工職人の独り言)」
秋も深まりました。富加の里にも秋の景色が…いや、もう初冬の雰囲気さえ漂い始めています。今年は秋が短い感じがします。休耕田にはコスモスの花が咲き、干し柿にする渋柿の収穫も終わりました。保存用の玉ねぎの苗も250本ほど植えました。
里山 里山 里山
ところで、前回の里山便りに書いてありますが、当工房のお客様方は当ホームページを本当に隅から隅までよく読んで頂いている方が多いです。私もこのホームページを作るにあたって、できる限り細かく色々な事を載せようと思い立ち上げました。ですから詳細な説明や拡大写真などは多いはずです。

もちろんホームページに多くの事を詳しく載せるのは、より分かりやすく作品の事を伝えるためである事は言うまでもありません。それに、細部までできる限り手を抜かないで(手間暇をかけて)作るというポリシーもあり、詳細にわたって載せる事に何ら抵抗もありません。「どうぞ隅々までご覧下さい」というメッセージです。しかしそれだけでなく、次のような想いもありました。

先日お客様のお宅に伺いさせて頂いた時に、お話させて頂いた事ですが…

私は、前職の影響もあると思いますが、できるだけこの木工の世界の事を多くの人に伝えたい、知らせたいという想いが強いです。木の素晴らしさ、伝統的な知恵や技術の素晴らしさ、木工職人の素晴らしさ、奥深さ等々…とかく昔から職人というものは「職人気質(かたぎ)」などと言って、あまりしゃべらない事、説明しない事が良いというような傾向があったように思います。

様々な知恵や技術は教えてもらうんじゃなくて「盗むものだ」などとされてきた所があると思います。そして今でも、多かれ少なかれそんな事が「良し」とされている雰囲気があると思います。

もちろんそういった事を否定するつもりはありません。でも、私は純粋に、より多くの方に、子供たちに「知らせたい、伝えたい」と思っているだけなのです。だからホームページもできるだけ詳しく載せていこうと思っています。

…と、大体こんなようなお話をさせて頂きました。

すると、お客様から「あなたのおっしゃっている事と本当に同じような事を、私の知っている若い炭焼き職人の方もおっしゃっています。是非あなたを紹介したいわ。」と言われました。その方の詳しいお話もお聞きし、お土産にその方が作られた「木酢液」も頂戴致しました。(その方はかなり有名な方で、日本中を講演して回ってみえるような方なので、ここではあえて名前を伏せさせて頂きたいと思います。)

私はその方のような素晴らしい職人ではありませんが、木工に携わる者の一人として、ともかく私がこの世界に入って知った素晴らしさを、是非多くの人や子供たちに伝えたい、知らせたいと思っています。これから先も…。
2009.11.05
「インターネットが取り持つ出会い」
お客様から突然次のようなメールが届きました。

10月30日の日記に「お客様とのお付き合いを大事にし、前述のような不安を払拭するような、より人間的な商売をしていこうと思います。インターネットを媒介にはしていますが、冷たい感じのしない温もりの伝わる商売というか…。実際うちの場合は、遠くからでも工房まで来て実際に見て頂くようなお客様が大半です。インターネットだけでは終わっていないのです。たいていのお客様には直接お会いしています。」と書いてありましたが…、

私たちは注文を簡単に決めてしまったと思われているかも知れませんが…即決したのはHPを細かく読み佐藤さんの作品に対する心構えに共感したこと、そして佐藤さんが納品先の方に炬燵の使い心地を問い合わせ、教えてくれたことです。納品後もその方と交流があるということは、お客様が作品に満足されているのだと感じました。

板の選定においても、佐藤さんが材木店に行って吟味する姿が目に浮かびました。一番ワクワクする瞬間なのかな…と勝手に想像しました。どんな板にするか選択する過程を楽しむという人もいるでしょう。しかし私たちは、この人と決めた方が「選択」したものなら、一切お任せします。そのような方と出会える、ということが幸運だと思っています。何を買うかより、誰から買うかの「選択」を大切にしています。お任せすることに不安はありません。

インターネットは、有効に使えば素晴らしい出会いを提供してくれます。次回の里山便り楽しみにしています。
東京都羽村市 S.M

S.M様は無垢一枚板のこたつ座卓をご注文下さいました。東京都にお住まいなので簡単に来られないという事で、ご希望をよくお聞きして板を選定し、メールで画像をお送りしてご検討頂きました。

電話でもやり取りを致しましたが本当にホームページをよく読んで頂いており、信頼をして頂けたようです。「里山便り」や「木になる話」なども全て隅から隅まで読んで頂いているという印象でした。
里山 里山 里山
それにしても、このような突然のメールは本当に嬉しく思いました。商品を気に入ってご注文を頂ける事はもちろん嬉しい事なのですが、それだけでなく、私自身の仕事そのものに対して絶対の信頼を置いてご注文を頂けるという事は、本当に家具職人冥利に尽きます。

以前にも「横須賀市のK.K様」や「熱海市のS.N様」も同様な事をおっしゃって下さいました。S.M様やK.K様、S.N様に限らず、遠方にお住まいで実際に来られない方はホームページを隅から隅までよく読んで頂いている方が多いようで、当工房の仕事や私自身大切にしている事をよく理解して頂き、気に入って頂いてご注文を頂いているようです。

以前の「三重県津市のS.T様」の場合は、ある日突然「あなたにお任せしますから、実際に家を見に来て下さい」という電話がかかってきたほどでした。こういったご期待を裏切る事が無いように、良い仕事をしていきたいと思います。

(次回「みんなに知らせたい」に続く)
2009.11.02
「この頃の事」
実は8月ぐらいからつい最近まで、我が家は何かとせわしない事になっていました。

旧工房まずは旧工房。漆塗り作業に使うぐらいで、ほとんど使わなくなって物置状態になっていました。使わなくなると俄然老朽化が進むもので、雨漏りがひどく、壁も崩れかけ、危ない事になっていました。…そこで、これをついに解体する事にしました。
旧工房旧工房そうなるとまずそこに置いてあったものを置く場所を確保しなければなりません。梱包資材やら毛布やら、仕事関係のものは現工房の中に屋根裏部屋を急きょ造り入れました。

洗濯物を干したり庭仕事の道具を置く場所も家に継ぎ足して作りました。
旧工房そしていよいよ解体です。元々、祖父母が養蚕をしたり内職をするために、廃材利用で近所の大工さんに頼んで建ててもらったもので、祖父母と共に思い出も多い建物です。

そして、工房を始めるにあたって、これを自分で改築しました。床の補強、壁や天井の取り壊し、コンクリート打ち、窓の取り付けなど…しかし壊し始めたらあっけないもの。あっという間の出来事でした。
工房の記念ただ一つ、工房を始める記念にと、二人の子供の手形を床のコンクリートに押させたのですが、これだけは何とか取っておこうと頼んで残してもらいました。今、工房の入口に飾ってあります。
旧工房すっかりきれいになってしまった跡地は、又有効利用をしようと密かに計画中です。これからの楽しみの場所になります。
土蔵の床の張り替えそして…長年気がかりだった土蔵の床の張り替えも、この際やってしまおうというわけでやっちゃいました。すっかり腐って穴があいたりしていた所へ合板を乗せて使っていたような状態でしたから、見違えるようにきれいになりました。

なかなか素敵な空間になり、すぐに色々な物を入れてしまうのがもったいないぐらいです。「土蔵ギャラリー」という考えも浮かびましたが、色々と事情もありますので残念ですがあきらめる事になりそうです。

代々田舎で暮らしていくというのは、なかなか大変なものです。土地や建物はたっぷりありますが、それを維持していくのに色々と大変なんです。

「田舎暮らし」という言葉があります。でも「田舎暮らし」というのは都会の人の使う言葉であり、ファッションです。私たちにとっては「田舎で生きていく」という事です。この二つは大きく違います。(これについては又いつか書く事にします。)

それにしても、気がかりだった事が片付いて気分がいいです。
2009.10.30
「桜、桜、桜…」
山桜の無垢板山桜の無垢板山桜の2枚接ぎテーブルを作っています。ところが全く偶然にそれが3本続いています。皆「山桜の2枚接ぎダイニングテーブル」です。単品であったり椅子とのセットであったりまちまちではありますが…。

輸入材のチェリーもありますが、やはり私は国産の山桜が好きです。少し青い筋のような模様が入ったりもしますが、全体に同じようなピンク色のチェリーより、それがかえって味わいがあっていいと思います。

ところでホームページを作ってからというもの、時々こういう事が起きるから不思議です。つまり、時に一枚板のテーブルの問い合わせが続いたり、ライティングビューローの問い合わせが続いたり、胡桃の接ぎ合わせテーブルが続いたり、あるいはウォールナットの2枚接ぎテーブルの問い合わせが続いたり…、時々インターネットという何か得体のしれない巨大なロボットのようなものに振り回されているような恐ろしさを感じる事があります。なんだかすべてが虚構のような…。

少し前に「i ロボット」という映画を見ました。人間に使われていたはずのロボットが「意思」を持ち始め、逆に人間を支配し始めるというような内容だったと思います。そんな大それた事ではありませんが、ちょっとそれに似た恐ろしさかもしれません。

カヌーカヌーでもその向こう側には確実に生きているお客様がいて、私の作品を気に入って注文して下さる…それは間違いのない事ですし、本当に幸せな事に皆さん本当に良いお客様ばかりなのです。

だったらより一層、お客様とのお付き合いを大事にし、前述のような不安を払拭するような、より人間的な商売をしていこうと思います。インターネットを媒介にはしていますが、冷たい感じのしない温もりの伝わる商売というか…。

実際うちの場合は、遠くからでも工房まで来て実際に見て頂くようなお客様が大半です。インターネットだけでは終わっていないのです。たいていのお客様には直接お会いしています。納品だってそうです。できる限りお客様の所へ直接お届けし、お客様とお話をして、人間と人間との付き合いをしていこうと思っています。安い高速料金がいつまでも続く事を祈っています。
2009.07.29
「自分で作っちゃおう」
釣りやら自転車やら何かと多趣味な近所の人と話していたら、私に一言…「佐藤さんも何か趣味を持った方がいいよ」と。確かに、平日も休日もあまり関係なく仕事をしているだけという感じですから、趣味と言ってあまり無いように思えます。(他人には特にそう見えるでしょう。)でも、無いわけではありません。ただこれが趣味と言えるかどうかは微妙なところですが…。

例えば「野菜作り」…これはこの「里山便り」でもよく書いているところです。もう一つは「何か自分で作る事」…変な言い方ですね。子供の頃から、手作りおもちゃやらプラモデルやら秘密基地やら(?)、とにかく自分で作る事が好きでした。その性格はそのまま大人になっても同じで(だから今の仕事ができているわけですが)、自分で作れるものは何でも作りたいという衝動があります。工房建築については以前にも書いた通りですが、その他にも色々と作っております。

例えば「カヌー」。これはまだ木工所に勤めていた頃、仕事が終わってから夜なべで作り、1か月ほどかかりました。「ウッドストリップカヌー」と言って、厚み6mm、幅20mmほどの薄い木の板を約200枚ほど貼り合わせて成形し、FRPをコーティングして作ります。
カヌー カヌー カヌー
船体の横には「カワセミ」の絵を描きました。口の悪い同僚は決して上手ではないこの絵を見て「カワセミ号」ならぬ「どろセミ号だ」と言って笑っていましたっけ…。長さは約4mあり、家族4人が乗っても大丈夫です。よく湖で乗って遊びました。
車庫 最近では工房の横に付け足して作った車庫があります。息子との共同作業はウッドデッキ以来2回目です。屋根の板金工事が意外に難しい事がわかりました。
車庫 車庫 車庫
そしてもう一つ。愛車ハイエース号の荷台に作った高さ可変式荷物台兼ベッドです。これで当分快適に納品できそうですので、日本中を走り回る予定です。(高速料金1000円がいつまでも続くといいのですが…。)
高さ可変式荷物台兼ベッド 高さ可変式荷物台兼ベッド 高さ可変式荷物台兼ベッド
この他にも、今後作りたいものはあれとこれと…家具作りも楽しいですが、自分で作ることは本当に楽しいものです。
2009.07.13
「収穫の夏」
畑の野菜畑の野菜久しぶりの里山便りとなりますが、この間に畑の野菜はずいぶん育ち、我が家の食卓に上がっています。我が家で食べきれない分は、相変わらず知人におすそ分けをしています。

ただ今年は、異常なぐらいずっと雨が続いていましたので、その影響がやはり野菜の成長にも表れています。

特にひどいのがスイカです。ある程度大きくなるとことごとく裂果してしまい、がっかりです。20個ぐらいうまい具合に成長していたのに、その半分近くが割れてしまいました。調べてみると、雨が多い時にこういう事が起きやすいという事でした。こんな事は10年続けてきて初めての経験です。
野菜の収穫先日書いたように、猿の被害もありましたし、今年は弱り目に祟り目といったところです。まぁ、こういう年もあります。自然相手の自然農法ですから。またひとつ良い経験になりました。

それでも、スイカも家族や親せきが味わうぐらいは取れましたし、その他の野菜は十分おいしいので満足です。いよいよ暑い盛りになります。野菜も盛期を迎えます。
2009.06.26
「ついに出た!」
一気に夏の気配という感じのこの頃です。畑の作物もずいぶん大きくなっています。雨が続く前の先週金曜日にはジャガイモを全部掘りました。およそ140株ほど植えてあるので、これを一人で一気に掘るのはさすがに大変です。蒸し暑くて途中で頭が痛くなり、「これはやばいな」と思ったくらいです。

ジャガイモ今年は昨年に比べると全体に生育は悪く小振りではありましたが、それでも収穫籠に3杯分たっぷり取れました。昨年が異常なくらい大きかったのを思うと、今年のが普通かもしれません。味はむしろ今年の方がおいしい気がしますし、保存するにはこのくらいの大きさがちょうどいいです。
ジャガイモナスピンポン玉よりも小さいジャガイモもいっぱいあります。これももったいないので食べます。今なら皮をむかなくてもそのまま食べれるくらい柔らかいので、そのまま煮て食べます。これがまたすごくおいしいです。
トマトナスさてトマトもわたしの背丈ほど大きく伸び、ミニトマトはすでに私を超えジャングルのようになっています。これから色づいてきますが、楽しみです。

ナスやキュウリは少しづつ収穫して食べたり、人にあげたりしています。スーパーのものとは味が違っているようで、「いつも食べない家族まで食べます」と喜ばれています。

ところで、今週ついにわが里にもあいつが現れました。そうです、猿です。イノシシは前から出ていますが、イノシシはさつまいも以外食べないので、被害と言ってもさほどありませんでした。

でも、猿はそうはいきません。十数頭が群れで現われ、何でも食べていきます。数メートルの距離まで近づいても、平気な顔で悪さをしています。賢いもので、へたに囲ってもその上から飛び込んで入り、簡単に取っていきます。
畑畑とうもろこしやらまだ青いトマトやらを腕でいっぱい抱えて、山の方へ去っていく様は何とも言えず、憎らしいものです。

我が畑のスイカも一つかじっていきました。こうなっては仕方が無いので早速すべての野菜を網で囲ったり覆ったりしました。
孔雀イノシシや猿だけでなく、ハクビシン、アライグマその他きつねや鹿、キジなど、最近多くの動物をこの里でも見かけます。何だか急に増えたような気さえします。

異常気象やら山林の放置やらが重なり、動物もエサを求めて里へ下りるほか無くなってしまったのでしょう。かわいそうですね。でも野菜が食べられるのはやはり困ります。
2009.06.11
「畑のその後」
イチゴジャムイチゴジャム6月に入り、畑もだいぶんにぎやかになってきました。この頃は毎朝仕事前に20分ほど畑に行き、野菜の様子を見るのが日課となっています。

イチゴはもう終わりましたが、たくさんたくさん頂きました。あまりにも多かったので子供もカミサンも飽きたようで、ついには私一人が意地になって食べた感じでした。最後の方は小粒になってきましたのでイチゴジャムを作りました。家庭菜園ならではです。エコですね。
ジャガイモは茎葉が枯れかけてきましたので、もうすぐ収穫です。トマトはずいぶん伸びてきました。2本仕立てで作っている事もあり葉が密集してきましたので、適当に葉をちぎって取ってやります。少し風通しをよくし日当たりをよくしてやります。

キュウリは昨日初めての収穫をしました。2本頂きました。息子が1本まるかじりしました。ナスは「初成りの実は早めに取るのが良い」という事なので、少し小さいうちに頂きました。
畑 畑 畑
スイカゴーヤーは順調です。雄花が咲き始めました。スイカもそうですが、まずはオス(雄花)が先に準備をし、メス(雌花)が出てくるのを待ち受けます。

スイカは今まさに開花期となっていますので、雌花に雄花の花粉を擦り付け受粉をしてやります。

これからしばらくは、毎日20分ほどこの作業を続けます。それが毎朝の仕事前の日課です。こんな事をしながら頭と体が徐々に目覚め、仕事に入っていく準備にもなっています。
2009.05.26
「8年ぶりのご対面」
座卓輪染み訳あって、8年ほど前に作って納品した山桜2枚接ぎの座卓を、お客様からお借りして工房に持ってきました。お借りする代わりに、サービスで汚れを落として再生する事にしました。

久しぶりに会う座卓は感慨深いものがありました。工房開設初期の頃の作品でしたので、その頃の自分の制作スタイルはやはり今とは違いますから、気恥ずかしいような感じでした。

きれいに使って頂いていたようなので天板表面の汚れはさほどありませんでしたが、メンテナンス(オイル塗布)はされていないようでしたので色が薄くなっており、千切りとして入れたローズウッドが全く別の木のような色をしていました。又、細かな傷や少しばかりの「輪染み」なども付いていました。
鉋がけサンディング丸太で買って製材し、乾燥した板で制作したものでしたので素性の良い板です。又、反り止めもしっかりと効かせてありましたので、板の反りはほとんどありませんでした。

そのため、鉋がけも楽でした。一通り全体に鉋がけをして新しい面を出し、その後でサンディングをします。そして、オイルとワックスを数回塗って仕上げました。
座卓お客様の家に届けると、きれいになった座卓を見て「初めと一緒ね」と言って喜んで頂けました。又新たに愛着を持ってお使い頂ける事と思っています。
2009.05.21
「畑のこと」
工房の春5月も半ばを過ぎ、このところ汗ばむような陽気が続いています。畑の方もだんだんにぎやかになってきました。今年も例年と同じようにたくさんの野菜を作っています。

このところ2日に1回ずつのプチイチゴ狩りで、カゴ一杯のかわいらしいイチゴが取れます。放ったらかしの野いちご状態の作り方ですので形も大きさもそれほどよくありませんが、うちで食べる分には十分です。いや食べ切れません。
工房の春たまねぎも収穫しました。今年は例年より早く大きくなってしまいましたので、本当ならもう少し収穫は遅いのですが、大きくなりすぎるといけないので、大き目のものを選んでまず三分の一ほどを収穫しました。
工房の春じゃがいも、すいか、トマト、ミニトマト、ナス、きゅうり、ゴーヤ、ピーマン、シシトウ、ごぼう、サニーレタス、いずれも今のところ順調です。これからいよいよぐんぐん大きくなります。来月の半ばにはジャガイモの収穫です。楽しみです。
工房の春 工房の春 工房の春
息子と一緒に作った中庭のデッキの上では、さまざまな花や木の鉢植えできれいに彩られています。

工房の春工房の春写真は右からタモ、栃、栓、そしてエゴの木の鉢植えです。花についてはわたしは名前をおぼえるのが苦手なので、もっぱらカミさん任せです。(絶対「花の名前LD(学習障害)」だと思ってます。)
当工房にお越しのお客様も、自然や農業に興味をお持ちの方が多いようです。家具を見てお話しするついでに、畑を見て頂くなんて事もよくあります。農業も無垢の木の家具も、「エコ」「癒し」という点で似ているのかもしれません。
2009.04.08
「春爛漫」
工房の春工房の春仕事の合間にコーヒーを持って工房の外に出る。積んである板の上にちょっと腰を下ろして休憩。

雲ひとつ無い晴天と、このところのぽかぽか陽気。鳥のさえずりなどを聞いていると気持ちよくなって、板の上にごろんと横になっているうちについウトウトしてしまいそうになる。

我が里富加も桜の花が満開に咲き誇り、今まさに春爛漫といったところ。工房への入り口であるお寺の山門もまさに桜のトンネルとなっている。そう言えば、この仕事を始めてから「花見」などやってないなと思いつく。花見に限らず、リフレッシュの時間をもっと作らなければいかんな…などと考えています。
工房の春 桜並木 桜並木
……さて、仕事に戻るか。
2009.02.23
「古代へのまなざし?」
珍しいお客様でした。…というのは、岐阜県の考古学関係の機関の方で、ちょうど今県内のある場所で遺跡を発掘調査している方です。なぜそのような方が、当方のような木工の小工房にお見えになったかというと、次のような事です。

昨年末に電話がありました。「実は現在1800年前の遺跡を調査中ですが、そこから大量に木製の農具が出土しました。調べていると、どうやら専門にそういうものを作っている、言わば匠の集団がいたと思われます。その農具にはおそらくチョウナ槍鉋の跡だと思われるものが見られます。私どもは素人なので、一度専門の方に見て頂き意見をお聞きしたい。とくに槍鉋の事についてぜひお聞きしたい。」と、ざっとそんな事でした。

私も槍鉋について熟知、熟練しているとは言えないので、その時は他の宮大工さんを紹介して一旦お断りしましたが、結局槍鉋についてはなかなか知っている方がいないという事なので、今回当工房へお見えになったというわけです。

実際に出土した鍬(すき)だとか、途中段階の木の塊や様々なものを車に載せて持って来られ、車庫に広げて拝見しました。1800年前と言えば、古墳時代の後期だとか…。そんな太古の物なのに、パズルのように組み合わされた完成品やら、完全な形で残っている部品を見ると、不思議と古さを感じませんでした。

その加工技術も繊細で、おそらくつい最近まで農村で使っていた木製の鍬などと比べても、ひけをとらないと思います。あまり詳しい事は書けませんが、「へえ、そんな道具があったんだ!」とびっくりするような事がいっぱいでした。

私も見ていて気が付いた事を少しお話させて頂き、槍鉋の使い方などの説明と実演をさせて頂きました。実際に体験もして頂いたので、そんな中から新しい発見もあったようでした。私に限らず、木工をやっている人なら当たり前に知っている事だったり、やっている事でも、他分野の方は知らない事も多いので、参考にして頂く事ができてよかったかなと思っています。

考古学の世界では石器の研究についてはかなり進んでいるようですが、木器についてはまだまだ進んでいないという事でした。簡単な事でお役に立てるなら、積極的に協力しようと思いました。

県の方の他にも3人ほど専門家がお見えになったので、いろいろ話をした中で私の知らない事もいっぱい聞く事ができ、貴重な時間を過ごさせて頂きました。今日は「古代」と「今」が結びついて、不思議な感覚になった一日でした。
桜 <span class=πチェア" width="360" height="480" border="0">PS.画像は本文とは全く関係ありませんが、最近の仕事から…「桜のπチェア 拭き漆仕上げ」です。
2009.01.01
「新年のご挨拶」
あけましておめでとうございます。

昨年も皆様のおかげで忙しく充実した日々を送らせて頂きました。今年もお客様に喜んで頂けるよう、精一杯の仕事をしていきたいと思います。本年もよろしくお願い致します。

サンドペーパー本年の1ページ目を飾るのは当工房のマスコット猫ジャガーの娘「リン」です。なかなかなつきませんが、れっきとしたうちの猫です。