

留形隠し蟻組み接ぎ(留形隠し蟻組み継ぎ)とは、木と木を組む伝統的な技法の事です。組み合わせる事により反りを止め合い、強度な接着をします。組む個所を内部に隠す事により、見た目には板の木目が繋がり、美観を損ねません。
留形とは45°を意味し、組む個所は直角に交わります。留形に接着して中に蟻組みがしてある仕口です。伝統的な仕口で、家具制作ではよく使われます。ちなみに、木々を組み合わせる部分が蟻の頭に似ている事から、蟻組みという名前がついています。
「留形隠し蟻組み接ぎ」の加工の順番をダイジェストで紹介します。今回は長さ165cm×幅45cmという大きな板を、この仕口で組みます。もちろん、ここから完全な手加工です。

まずは
墨付けです。こういった加工は墨付けの精度が非常に重要です。いくら切ったり彫ったりの技術があったとしても、墨自体が違っていてはどうしようもないですから。


のこぎりで墨線どおりに切っていきます。裏側まで切ってしまわないように寸止めです。

次はノミ作業です。いろんな大きさ・形のノミを使って慎重に彫っていきます。この作業がここから延々と何時間も続きます。板の上に座り込んで腰をかがめ、ひねったような姿勢でずっと続けるので、かなり腰も首も痛くなります。


次に留(45度)の部分の加工に入ります。まずは余分な部分をのこぎりで切り、ノミではつって落とします。
あっ、その前に一番端の部分は留(45度)に切っておきます。


次に留の部分をノミや際鉋(きわがんな)という道具で削ります。

時々、45度になっているかを確認しながら進めます。


このサイドボードのように途中が止まっている形の場合(つまり端から端まで抜けていない場合)は、普通の留形隠し蟻組み接ぎの場合より余計に手間がかかります。
このようにすべてノミで削って落とすしかないからです。

と、まぁこんな感じで出来上がりました。さて、うまく組み上がるかな?


試しに組んでみました。なんとかうまくいったようです。しかも一発で!よかった、よかった。