前板、側板、向板それぞれに加工をします。蟻組み（天秤差し）加工ともなれば、いっそうの手間がかかります。

それぞれ仕上げ削りをした後、さらにもう一手間加えます。前板は上部、下部ともに内側にテーパーをつけて削っておきます。引き出しを入れる時に幕板に当たらないようにするためです。

向板は上部、下部ともに側板よりも1mm強ほど削って、幅を狭くしておきます。これも上と同じ理由です。

全部の部材に対して、組み立てた後からでは出来ない部分を先に面取りしておきます。

組み立てた後は鉋（かんな）で一通り削ります。

仕込みに入ります。全部は入らない状態から、少しずつ削って合わせて行きます。

当たっている所に鉛筆で印をつけながら削って微調整をしていきます。

きれいに納まりました。この後、全体に面取りをして仕上げます。

もちろん、つまみも自作します。（木になる話「つまみ、取っ手」の項をご覧下さい。）

引き出しの奥にストッパーもつけます。微妙な長さを調整してつけます。

塗装の前には、オイルを塗るところと塗らないところの境目にマスキングテープを張っておきます。

板指しの構造の場合は一工夫が必要です。板は収縮をしますので、それに対して収縮をしない摺り桟を組み合わせる場合は「逃げ」を作っておく必要があります。後ろの部分は接着をしないで収縮にあわせて動けるようにしておきます。

このように様々な工夫がただの引き出しには潜んでいます。たかが引き出し、されど引き出しです。